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ジェームズ・スタネスク、ケビン・カミングス 編(井上太一 訳)
装幀:近藤みどり
カバー写真:外来種・淀川水系・透明骨格標本「ブルーギル」「雷魚(カムルチー)」
2019年1月18日発売
四六判 上製カバー装 320頁
定価:本体3,400円+税
ISBN 978-4753103515
なぜ脅威は「外」から来ると考えられるのか?
なぜ外来種を駆除しなければならないのか? 移民・外国人を排除・嫌悪するのはなぜか? 脅威は「外」から来ると考えるのはどうしてか?
外来種を侵略者と読み替える「国境」の論理――それが生み出す、人間と人外の動物への「排外主義」。「人新世」や「多元的存在論」など、人間と自然の関係を再検討する諸概念・研究を手がかりに、既存の外来種論の見直しを図る人文社会科学からの応答。
目次
序 章 種が侵略者となるとき(ジェームス・スタネスク、ケビン・カミングス)
第1章 いと(わ)しい存在の管理を超えて(マシュー・カラーコ)
第2章 外来種生態学、あるいは、存在多元論の探究(ジェームス・スタネスク)
第3章 客か厄か賊か――種に印づけられた倫理と植民地主義による「侵略的他者」の理解(レベカ・シンクレア、アンナ・プリングル)
第4章 ユダの豚――サンタクルス島の「野生化」豚殺し、生政治、ポスト商品物神(バシレ・スタネスク)
第5章 帰属の大活劇――多種世界における市民権の非登録化(バヌ・スブラマニアム)
第6章 よそ者を迎えて――繁殖の脅威論と侵略種(ケルシー・カミングス、ケビン・カミングス)
第7章 楽園と戦争――アルド・レオポルドと復元生態学におけるレトリックの起源(ケイシー・R・シュミット)
第8章 根無し草の根を育てる ――ピーター・ケアリーの『異星の快楽』にみられる侵略種と不気味な生態系(マイカ・ヒルトン)
原注
参考文献
訳者あとがき
著者
ジェームズ・スタネスク(James Stanescu)
アメリカン大学(ワシントンDC)非常勤講師(哲学)。道徳哲学、社会倫理、地球倫理の講義を担当。
ケビン・カミングス(Kevin Cummings)
マーサー大学コミュニケーション研究学部の教授・学部長、女性・ジェンダー研究学部の兼任教員。人工知能、侵略種、ツイッターの研究など、レトリックとメディアの接点を探究。
訳者
井上 太一(いのうえ たいち)
翻訳家。日本の動植物倫理・環境倫理を発展させるべく、関連する海外文献の紹介に従事。
訳書にデビッド・A・ナイバート『動物・人間・暴虐史』(新評論、2016年)、マイケル・A・スラッシャー『動物実験の闇』(合同出版、2017年)、ゲイリー・L・フランシオン『動物の権利入門』(緑風出版、2018年)など多数。
ホームページ:「ペンと非暴力」(https://vegan-translator.themedia.jp/)