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ジャン=リュック・ナンシー(渡名喜庸哲 訳)
装幀:難波園子
装画:宇佐美圭司《その時集合と離散が交錯するNo.1》1999
2012年11月9日発売
四六判 上製カバー装 208頁
定価:本体2,400円+税
ISBN 978-4-7531-0306-5
「フクシマ」は、単に原子力エネルギーの使用をめぐる機能不全に還元されるものではない。それは、人間が制御できないまでに肥大化した技術的・社会的・経済的な相互依存の複雑性へと、人間、生物、物、あるいは「力」など、あらゆるものを交換可能なかたちで吸収してしまう〈一般的等価性〉という体制を原理とする文明のことではないか?
本書は、旧来の文明の方法では覆いきれない〈構え〉を、技術・民主主義の根本的な再検討を通じて新たな文明論的布置を展開する。
目次
序にかえて
Ⅰ 破局の等価性――フクシマの後で
Ⅱ 集積について
Ⅲ 民主主義の実相
1 68年―08年
2 合致しない民主主義
3 さらけ出された民主主義
4 民主主義の主体について
5 存在することの潜勢力
6 無限なものと共通なもの
7 計算不能なものの分有
8 湯元和ものにおける無限
9 区別された政治
10 非等価性
11 無限なもののために形成された空間
12 プラクシス
13 実相
訳者解題
著者
ジャン=リュック・ナンシー(Jean-Luc Nancy)
1940年生まれ。ストラスブール大学名誉教授。
『無為の共同体』『イメージの奥底で』『侵入者』(以文社)、『自由の経験』(未來社)、『ヘーゲル』『世界の創造、あるいは世界化』(現代企画室)、『肖像の眼差し』(人文書院)ほか、訳書多数。
渡名喜 庸哲(となき ようてつ)
1980年生まれ。2002年、一橋大学社会学部卒業。パリ第7大学社会科学部博士課程修了
(博士)。慶應義塾大学商学部准教授。
共著に『カタストロフからの哲学』以文社、2015年、訳書に、ジャン=ピエール・ルゴフ『ポスト全体主義時代の民主主義』(共訳)青灯社、2011年、ピエール・ブーレッツ『20世紀ユダヤ思想家 来るべきものの証人たち』1-2巻(共訳)、2011年、みすず書房、などがある。