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ジュディス・バトラー(佐藤嘉幸 監訳、竹村和子、越智博美 訳)
装幀:近藤みどり
2021年5月19日発売
A5判 上製カバー装 448頁
定価:本体4,200円+税
ISBN 978-4-7531-0362-1
問題なのは身体だ。
『ジェンダー・トラブル』によって明らかにされた権力と言説によるジェンダー形成の過程。ジェンダー/クィアに関する理論書である同書は、フェミニズムやジェンダー、クィア・スタディーズにおいて画期をなすと同時に、多くの物議を醸した。
「ジェンダー」と同じく、「セックス」は言説によって構築されるものなのか。そのとき、身体の物質性はいかに理解されるのか。
本書は、『ジェンダー・トラブル』へ寄せられた批判に応答した、その続編であり、バトラーの「もうひとつの主著」である。
本書の原題 Bodies That Matter における”Matter”は「問題=物質」という二重の意味を持つ。これを強調して邦題は『問題=物質(マター)となる身体』とした。
アルチュセールの「呼びかけ」、オースティンの「行為遂行性」、フロイト/ラカンの「身体的自我」「ファルス」、フーコーの「系譜学」「主体化=服従化」、デリダの「脱構築」「ファルス=ロゴス中心主義」、イリガライ/デリダの「コーラ」、クリステヴァの「アブジェクション」など多くの思想家・著述家を参照しながら、規範的権力によって構築されるセックス、ジェンダー、人種などの既存の境界を撹乱する試み。
近年、改めて注目が高まるフェミニズムやLGBTQ、ブラック・ライヴズ・マターに代表される「人種」の問題にも接続しうる現代の理論書。
目次
日本語版への序文
謝 辞
序 文
序 章
第1部
第1章 問題=物質となる身体
第2章 レズビアン・ファルスと形態的想像界
第3章 《幻想》的同一化とセックスの引き受け
第4章 ジェンダーは燃えている――我有化と転覆の問い
第2部
第5章 「横断危険」――ウィラ・キャザーの男性的名前
第6章 パッシング、クィアリング――ネラ・ラーセンの精神分析的挑戦
第7章 現実界と論争する
第8章 批判的にクィア
註
すべての理論はマイノリティ性へと生成変化しなければならない──『問題=物質となる身体』解説(佐藤嘉幸)
訳者あとがき